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香川真司 10年前

香川真司がピッチから消えた? 世界最高、極限のフィジカルなフットボール

シリーズ:フットボール母国の神髄 text by 森昌利 photo by Kazhito Yamada / Kaz Photography

サンドロとデンベレのボランチが素晴らしい働き

香川真司が消された、世界最高、極限のフィジカルなフットボール
デンベレ【写真:Kazhito Yamada / Kaz Photography】

 試合は、とくに前半、ビラス・ボアスの気迫が乗り移ったトッテナムが完全に優勢だった。中でも187センチのブラジル代表MFサンドロと185センチのベルギー代表MFデンベレの巨漢ボランチふたりが素晴らしかった。トッテナムは、フィジカルな存在感を十二分に発揮したふたりのボランチが、マンチェスター・ユナイテッドの攻撃と連携を中盤の底で吸収して、そこから稲妻のようなカウンターの起点になった。

 トッテナムの先制点も、そんなカウンターから発生した。今夏コリンチャンスから移籍して来たブラジル代表MFパウリーニョがドリブル突破を試み、それをエバンスが故意の反則でつぶしてFKを奪ったことがきっかけだった。

 このPAちょい外の右サイドという絶好の位置で奪取したFKを、ウォーカーが蹴った。イングランド代表右SBが蹴ったボールは、条件反射のように一斉にジャンプした壁の足元をあざ笑うかのように抜けて、マンチェスター・ユナイテッドゴールに突き刺さった。

 ルーニーの同点弾はラッキーだった。先制FKを決めたウォーカーが右からのクロスの対応で致命的なクリアミスを犯す。何たることか、クリアし損ねたボールが、ゴール前に飛び込んだルーニーの足元へ転がった。

 こうした幸運をルーニーが逃すことなく、ずばっと右足を振り抜いてゴール。これで押されていた前半を終えて1-1としたのは、明らかにマンチェスター・ユナイテッドにとってありがたかった。

 こうして迎えた後半、まさに目の前で繰り広げられたフットボールは、プレミアで見られる最高の形だった。

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