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香川真司 10年前

香川真司がピッチから消えた? 世界最高、極限のフィジカルなフットボール

トッテナムとの対戦でトップ下としてスタメン出場した香川真司。しかし、プレミアトップレベルの圧力に屈し、見せ場を作れないままピッチを退いた。香川が体感した、世界最高のフィジカルなフットボールとは?

シリーズ:フットボール母国の神髄 text by 森昌利 photo by Kazhito Yamada / Kaz Photography

勝ち点を落とせないトッテナム

 トッテナムの記者席は、プレミアの中で一番ピッチに近い。文字通り、ダッグアウトの真裏にあり、ベンチに座る監督やコーチ陣、控え選手とほぼ同じ距離感で試合を観戦する。

 フォーメーションや、チーム全体の動きを見るには不便な記者席だが、12月1日、僕はそんな記者席の最前列に座り、この週のプレミア戦10試合で最高のカードだったトッテナム対マンチェスター・ユナイテッドを観た。

 そんな間近で観た超一流のプレミア戦は、ものすごいスピード感に溢れていた。その速さの中で、トッテナムの選手には、まさに“体を張っている”という気迫も満ちていた。恐ろしい勢いでボールに向かっていく。

 怖くはないのか? そんな勢いでボールに行けば、相手選手と接触してひどい怪我を負ってしまうことだってあるだろう。

 ところがこの日のトッテナムには、たとえ相手が王者マンチェスター・ユナイテッドとはいえど、ホームで勝ち点を落とすことは許されない事情があった。

 前週日曜日の11月24日、トッテナムは屈辱的な大敗を喫していた。アウェイとはいえ、マンチェスター・シティに6-0負け。するとトッテナム元会長アラン・シュガーが、極めて意図的に、ビラス・ボアス監督を貶める発言をした。

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