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Jリーグ 10年前

超混戦で“面白い”が“儲からない”Jリーグ。停滞感打破にビッグクラブは必要か?

サンフレッチェ広島の優勝で幕を閉じた今年のJ1リーグ。上位と下位の勝ち点差が少なく、混戦のリーグ戦はどこが優勝するのかまったく予想出来ず、競技としての面白さはある。しかし現実問題としてあまり儲かっていない。たびたび起こる“ビッグクラブ待望論”を検証する。

text by 川端暁彦 photo by Kazhito Yamada / Kaz Photography , Kenzaburo Matsuoka

ビッグクラブとは何か?

超混戦で“面白い”が“儲からない”Jリーグ。停滞感打破にビッグクラブは必要か?
2013年のJ1リーグは広島の優勝という形で閉幕を迎えた【写真:Kazhito Yamada / Kaz Photography】

 2013年のJ1リーグは広島の優勝という形で閉幕を迎えた。そんなシーズンの終盤から終了後にかけて、Jリーグにおける「ビッグクラブ不在」を嘆く記事が散見されている。どこにでも優勝の可能性があるリーグというJの現状は、換言すれば「どこも強くないリーグ」ということ。それでいいのか、というわけだ。

 ただ、こうした意見は「そもそも論」の説明が不足しているようにも思う。「そもそも、どうしてJリーグにはビッグクラブが存在しないのか」というロジックと、「そもそも、ビッグクラブが生まれるというのはどういうことか」という視点である。

「戦力均衡していたほうが面白い」といった純観戦者としての気持ちは僕にもあるのだが、この場で感情論を語っても仕方ないので、少し冷静に考えてみたい。

 この話を深める前に、まずはビッグクラブの定義付けが必要だろう。平たく言えば、予算規模の大きいクラブだ。首都圏にこだわる必要はないが、人口密集地でなければ予算規模の大きいクラブが成立しにくいのは確かだろう。日本で言えば、三大都市圏(東京、中京、関西)のいずれかということになる。

 予算規模の大きいクラブは大きく分けて二つある。歴史と伝統を積み重ね、タイトル獲得の拡大再生産によって大きくなっていく一般的イメージのビッグクラブと、どこかのお金持ちがジャブジャブと資金を投入してビッグになっていくタイプである。

 最近で言えば、ACLを圧倒的な強さで制した中国の広州恒大が後者に当たるだろう。ある種の道楽による投資によって急速に力を付けたチームは、確かにビッグクラブの一つの形ではある。

 このクラブはもう一つのメッセージも秘めていて、「恒大地産集団」という不動産バブルに沸く会社の名前を冠することで、資金を得ているということである。読売ジャイアンツが、読売を付けることで圧倒的な資金力を得ている構図と根っ子は同じなので、日本プロ野球型ビッグクラブと言うこともできるかもしれない。

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