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Jリーグ 10年前

超混戦で“面白い”が“儲からない”Jリーグ。停滞感打破にビッグクラブは必要か?

text by 川端暁彦 photo by Kazhito Yamada / Kaz Photography , Kenzaburo Matsuoka

勝っても大して儲からないJリーグ

「ビッグクラブ必要論」自体は分からなくもない。選手を積極的に「買う」クラブがなければ、育成型のクラブも育ってこない。現状では「欧州に売る」というのは博打的な目標に近く、現実的ではないのだから、これは当然だ。ただ、20年を経ても「タイトル獲得の拡大再生産によって大きくなる」クラブが現れなかった事実もある。

 もちろん「タイトル獲得の再生産」をしたクラブ自体はある。鹿島がそうだろう。ただ、「拡大」はしなかった。否、できなかった。Jリーグのタイトルの市場的な価値が低く、「勝っても大して儲からない」という現実があったからである。

 ビッグクラブが欲しいなら、方法論は二つしかない。一つはどこぞの金持ちに期待するリスキーな改革を行いつつ(日本経済の現実を思えば、現在は厳しく規制されている外資への門戸開放しかないだろう)、企業名をチーム名に冠するネーミングライツを開放することである。

 そしてもう一つは、Jリーグ優勝の(あるいは優勝争いの)市場的な価値を上げて、「勝てば勝つほど儲かる」リーグに変えていくこと。「勝てば儲かり(予算規模が増え)、さらなる投資ができて、また勝つ」という繰り返しが生まれるなら、積極的な投資が促されて、自然とビッグクラブも生まれていくだろう。

 いまは身の丈を求められる中で各クラブは投資に萎縮し、選手の移籍もゼロ円移籍ばかりで、総じて「金が回っていない」現実があるわけだが、それが変わる「可能性」はある。

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