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ルーニー依存、不安定な守備陣…。大いなる不安を抱えたまま“死の組”に挑むイングランド代表

text by 山中忍 photo by Kazhito Yamada / Kaz Photography

リオとテリー抜きの守備陣に残る不安

 予選以来の正コンビは、フィル・ジャギエルカとガリー・ケイヒルの2名。体を張って守る両名は、起動力と統率力がいま一つ。予選終了後の親善試合でチリとドイツに連敗すると、指揮者間からも、テリーの代表復帰を求める声が漏れた。

 指揮官は、復帰要請の可能性を否定したが、スモーリングとジョーンズの急成長もなく来夏を迎えれば、最終ラインはチーム最大の不安材料だ。

 フィジカルでは劣る対戦相手でも、前線に軽快なフットワークと連係能力があれば、決定機創造は困難ではない。特に、グレン・ジョンソンの集中力が怪しい右サイドが狙い目。右SBが、控えで攻撃過多なカイル・ウォーカーであれば尚更だ。

 もしグループCの日本が勝ち上がり、ベスト16で対戦するとするならば、香川真司が長友佑都のオーバーラップなどと絡みながら、敵の右サイド後方に侵入してケイヒルを外に吊り出す。この状況でのケイヒルは、中途半端な寄せでボックス内へのパスや侵入を許すケースが多い。

 しかも、中盤の底に本物の「守備職人」がいないことから、右CBがいるべき位置がカバーされているとは限らず、左CBのジャギエルカには、間延びした間隔を瞬時に縮める走力がない。

 加えて、ゴール前に控えるジョー・ハートが自信低下のまま本大会を迎える可能性さえある。競争相手不足の代表守護神は、マンチェスター・シティでは現在、守護神降格中の身だ。

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