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ルーニー依存、不安定な守備陣…。大いなる不安を抱えたまま“死の組”に挑むイングランド代表

ウルグアイ、イタリアと同じく“死の組”グループDに入ったイングランド。W杯予選は1位通過したものの、不安要素は多い。ホジソン監督は「攻撃的なスタイルをお目にかけたい」と語っているが…

text by 山中忍 photo by Kazhito Yamada / Kaz Photography

「予選敗退の可能性もある」。国内では悲観的な見方も

 イングランド代表は「過渡期」にある。主力の若返りと同時に、強豪対決ではカウンターに頼りがちだったチームは、ボール支配率を高め、常に主導権を握って戦うチームへの変身を目指しているのだ。

 EURO2012直前に就任したロイ・ホジソン監督には、2014年W杯優勝ではなく、18年W杯以降の成功への基盤構築が、最も重要な使命として与えられている。

 進捗はというと、これが順調とは言い難い。さすがに予選敗退は許されないことから、根が慎重なホジソンは、一先ず結果にこだわった。にもかかわらず、ウクライナが最大のライバルだったグループHで、最終節まで1位通過を決められなかったのだ。

 10試合を31得点4失点で無敗と言えば、聞こえは良い。だが、白星は6つで、うち4勝はサンマリノとモルドバの両弱小が相手。高得点数も、両国から奪った計22点のおかげだ。

 トップ2を争った他の3ヵ国とは、必勝の覚悟を強いられた最後の2試合まで勝てなかった。第8節ウクライナ戦を、見所のないスコアレスドローで終えると、母国メディアは「ブラジルは見えたとしても将来が見えない」と、消極的なホジソン采配を非難した。

 こうしたチームの事情と予選の実態から、国内には例年通り「優勝を狙える」という楽観的な見方がある一方で、「予選敗退の可能性もある」という悲観的な見方もある。

 大方の予想は、「最高でも最悪でもない」その中間だが、ブラジル行きを決めた予選ラスト2試合のような姿勢で臨んだ結果であれば、ベスト8で「成功」と認められるに違いない。モンテネグロ戦(4-1)とポーランド戦(2-0)は、尻に火がついていたとはいえ、真の「前進」を示唆する2連勝だったからだ。

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