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本田圭佑 10年前

内部抗争で迷走するミラン。名門の救世主は“10番”本田か、変革の旗手・バルバラ嬢か

text by 倉石千種 photo by Kazhito Yamada / Kaz Photography , Kenzaburo Matsuoka

表向きはガッリアーニとの仲は改善されたように見えるが…

 イタリア国内の報道も過熱し、11月末にはSKYSportがミランの移籍メルカートの情報の中で、バルバラ氏が技術部長としてパオロ・マルディーニを招聘すると報じ、一方でガッリアーニ副会長の辞任の意向を報じて、「ジェネレーションを変えるというとき、このような形ではしないものだ。もっとエレガントな形でやるもの。私は傷つき、怒っている。痛められる前に辞任する」とのコメントを紹介している。

 だが、ここにきて事態は徐々に収束に向かっている。ベルルスコーニ名誉会長自らが仲裁に入り、両者の役割分担を明確にしたのである。今後、ガッリアーニ氏はスポーツ部門の責任者、バルバラ氏は2015年以降の新スタジアム建設やマーケティング、商業活動の責任者としてクラブ経営に携わっていく方向となった。

 イタリア国内ではガッリアーニ氏の「バルバラと一緒に仕事する準備ができている」とのコメントが紹介され、円満な組織運営ができるとされている。

 ただ、我が強い者同士のニ頭体制がどこまでクラブを再建できるかは不透明だ。改革の方向性でぶつかり合えば、再び不協和音の声は大きく響くようになるだろう。

 今、ミランというクラブ自体が新しい時代を迎えようとしている。11月12日には市街地にあったオフィスをサン・シーロ・スタジアムからほど近い郊外へと移転させ、120人の社員がこの4階建ての建物で働き始めた。

 入り口の壁面に「♯We are AC Milan」と英語で壁に書かれた建物は9,000㎡の広さを誇り、地上階には美術館やショップ、レストランなども完備している。

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