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かつては欧州・世界を制し、タレントも豊富だが――。フランス代表は“強豪”と呼べるのか?

text by 小川由紀子 photo by Kazhito Yamada / Kaz Photography

追い込まれたプレーオフで大逆転勝利

 さらにそれを回復すべく挑んだ2012年のユーロではまたしても一部の選手が素行不良でサッカー協会から謹慎処分を受ける始末。今回のプレーオフを前に国内のメディアが共同で行ったアンケートでも、82%が「フランス代表に悪いイメージを持っている」と答えたほど、フランス代表は評判を落としていた。

 そんな、自国の国民からもそっぽを向かれる状態で臨んだ今回のW杯予選は、現世界王者スペインと同グループに組み分けたこともあり、1位勝ち抜けの望みは最初から薄かった。

 スペイン以外の3カ国は、グルジア、フィンランド、ベラルーシと、選手たちが所属しているクラブから察してもそこまで難敵とはいえない相手であったから、スペイン以外には「勝利」が絶対必須条件に掲げられた。

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予選通過を果たしたデシャン監督率いるレ・ブルー【写真:Kazhito Yamada / Kaz Photography】

 だが、今年9月のベラルーシ戦を0-0で引き分けた以外は、スペイン戦でも敵地でドローに持ち込み勝ち点1をゲットするなど、及第点の結果でプレーオフ出場権はモノにした。

 ところが、そのプレーオフ第1レグでウクライナに2-0で敗れ、レ・ブルーは崖っぷちに立たされた。落胆、諦め、非難…といった様々な感情が世間を支配し、「W杯プレーオフで2-0を覆した前例はない」などという統計も、さらに第2レグのハードルを上げた。

 しかし後がなくなったこの試合、イベント感に煽られた客も大勢いただろうが、会場のスタッド・ド・フランスは久々の超満員。熱狂的な応援を背に受けて、序盤から超攻撃的なゲームを展開すると、3点をぶち込んで3-0で逆転し、見事に出場権をモノにしてみせた。

 国民に非難されながらも、山あり谷ありをくぐり抜けて予選を通過したことで、レ・ブルーはさらなる団結力、そして勝負強さを手に入れたのだ。

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