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かつては欧州・世界を制し、タレントも豊富だが――。フランス代表は“強豪”と呼べるのか?

text by 小川由紀子 photo by Kazhito Yamada / Kaz Photography

「攻撃よければすべて良し」のチーム

 レギュラー陣にはロリス、リベリー、エブラといったベテランもいるが、このメンバーで戦う歴史は浅い。事前の準備合宿を含め約2ヶ月間という長丁場を、ピッチの内外両面で、このグループがどのように共存していけるかという点に関しては、最高のケースも、最悪のケースも想定できる。

 欧州のスイスは想定しやすいとしても、中南米勢は侮れない。エクアドル、ホンジュラスと組み分けたことが、裏目に出ない保証はない。

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ユベントスで活躍を見せるポール・ポグバ【写真:Kazhito Yamada / Kaz Photography】

 仮に彼らが、精神的、肉体的なコンディションも万全で試合に臨めるとすれば、プレーオフで奇跡の逆転劇を演じたラスト・イレブンのポテンシャルは相当高い。ここで核となるのはアンカー役のキャバイエで、彼のところでしっかりボールを収めて、そこから前へ的確に展開していくことで、攻撃の効率は飛躍的に向上した。

 彼とともに中盤の三角形をなすマテュイディとポグバは、ボール奪取力も高いが、攻撃力でも計算できる選手だ。彼らにその素質を十二分に発揮させることで、相手のマークが集中することが必至なリベリーとベンゼマに、よりチャンスを与えてやることができる。

 マルセイユ時代から、デシャンのチームは「攻撃よければすべて良し」だ。

 ディフェンスがザル、という意味ではない。攻撃が思い通りに回っているとき、守備の機能性も格段に上がり、全体のパフォーマンスが、時にはまったくの別チームか、と見まがうほどレベルアップするのだ。

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