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連載コラム 10年前

W杯前に知っておくべきブラジルフッチボール。ジュニーニョ・パウリスタの会長として最初、選手として最後の仕事

イトゥアーノから会長への誘い

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イトゥアーノの会長を務めるジュニーニョ・パウリスタ【写真:田崎健太】

 現在40歳になるジュニーニョは、サンパウロ州イトゥにあるサンパウロ州リーグ一部のイトゥアーノの会長を務めている。

「引退後もサッカーに関わりたいと思っていたけれど、具体的に何をしたいというのはなかった。監督やビッグクラブのフットボール・ディレクターには興味はなかった。

 自分はブラジル、イングランド、スペイン、スコットランド、オーストラリアなどでプレーしてきた。こうした様々なクラブを見てきた経験をクラブ経営に活かすことはできないかと漠然と思っていたんだ」

 ジュニーニョは、73年2月にサンパウロで生まれた。

 イトゥアーノの下部組織で育ち、プロ契約を結んだ。初年度のサンパウロ州選手権でサンパウロFCの監督だったテレに気に入られ、引き抜かれることになった。

 95年にイングランドのミドルスブラ、97年にスペインのアトレチコ・マドリー、99年にミドルスブラに戻った。一度母国に戻った後、再びミドルスブラ、スコットランドのセルティックなどを経て、2007、2008年にはオーストラリアのシドニーFCに移った。

「シドニーFCとの契約が終わってブラジルに戻ってからしばらく所属チームが決まらなかった。その時、自分はどんな風にスパイクを脱ぐのだろうと想像してみた。そんな時にイトゥアーノから会長にならないかと声を掛けられたんだ。2009年の6月だったと思う」

 会長職を本格的に始めるより先、ジュニーニョには仕事があった。イトゥアーノは戦力が整っていない。翌年のサンパウロ州リーグ一部から降格しないために、ジュニーニョの力が必要だった。

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