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いま一番使われているフォーメーションとは? チーム戦術におけるトレンドとその機能性

取材現場で選手と話をするとき、フォーメーションの件が話題にのぼることは決して少なくはない。システマチックな話はサロン談義として切り捨てられるのかと思いきや、意外にも選手たちも俯瞰した視点で物事を見つめている。

text by 編集部 photo by Ryota Harada

フォーメーションの近年の歴史

いま一番使われているフォーメーションとは? チーム戦術におけるトレンドとその機能性
もっとも原始的な2-3-5(ピラミッドシステム)。2バックで3トップを抑えていた。

 フォーメーションとは試合展開の効率を追求した結果だと言える。小学生がサッカーの授業でそうするように、ひとつのボールに20人が寄り集まってもプレーはできるが、ピッチ上に分散したほうがより速やかにボールを動かし、あるいは危険地帯に赴くことができる。試行錯誤の末、現在残るフォーメーションは先達がその有用性を実証済みのものばかりだ。

 フォーメーションの過去の歴史においては、ルールの改定によってその存在が退場したものもある。2-3-5のピラミッドシステムだ。これは5トップのうちふたりはインナー、つまり二列目で、純粋なフォワードは両ウイングとセンターの3人となる(実質2-3-2-3)。

 これを2バックで守っていたのは、現代よりも一列手前の相手チーム最後尾から3人目の選手がオフサイドラインになっていたからだ。「最後尾」ゴールキーパーの前に位置する「2人目」のディフェンダーは、「3人目」のディフェンダーが立つオフサイドラインのウラに抜けてきた相手フォワードかボールをマークするだけでよい。しかも2バックのうちひとりが前に出れば、相手はかんたんにオフサイドになる。

 言い方を変えると、3人目がオフサイドという当時のルールが、フォーメーションのディフェンスの数的不利を補っていたのだ。

 ところが1925年にオフサイドルールが現在と同様に改められると、オフサイドラインでひとりがストッパーとして阻み、残るひとりがスイーパーとして待ち構えてカバーする守り方は危険になった。旧オフサイドルールが守ってくれない2対3として考えれば、2バックは守備側の数的不利でしかない。

 そこで2-3-5の「3」からセンターハーフをディフェンスラインに下げ、3バックにした3-2-2-3、いわゆるWMシステムが、新たな主流として定着することになる。

 このように選手の配置と戦い方には密接な関係がある。だから選手は「列(なら)び」と呼んでフォーメーションを気にする。

 1936年ベルリンオリンピックの日本代表は、大会直前に欧州入りしたのち、2バックから3バックへと急遽フォーメーションを変更したが、これも当時のセンターハーフが長身で守備的な選手だったからできたことである。選手の特徴と配置。フォーメーションと戦術が密接に関連しているからこそ、監督はホワイトボードを見つめ、常に頭を悩ませているのだ。

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