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中1日、元日での試合も当たり前。なぜプレミアリーグは12月末に過密日程になるのか?

text by 山中忍 photo by Kazhito Yamada / Kaz Photography

かつては連日試合が組まれたことも

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年末の「観戦三昧」はサポーターにとって最高の贈り物【写真:Kazhito Yamada / Kaz Photography】

 外国人の選手や監督までもが、疲れた体と頭に鞭を打つ理由はサポーターの喜び。クラブ経営を支え、延いては自分たちの高待遇を可能にしている「12人目」にとって、元日までの10日間にリーグ戦4試合という伝統の「観戦三昧」は、最高の贈り物なのだ。

 クリスマス前後の試合会場は、例年、どこも盛況。一般企業がクリスマス休暇に入るこの時期は、一家の主が家族観戦を実現するまたとない機会だ。仮に勤め先が暦通りの営業でも、クリスマスとボクシング・デーは連休。

 祝日が年に8日しかないこの国では、8月後半の祝日から4カ月ぶりに訪れる貴重な連休でもある。50年代までは、両日ともリーグ戦開催日に当てられ、ホームとアウェイでの「連日ダービー」が行われることもあったという。

 イングランド人にとってのクリスマスは、日本人にとっての正月のようなもの。故郷に戻って「心のクラブ」のホームに通う者も多い。ロンドン南部にあるUEFA公式サイトの事務所で働く友人は、父親と観戦する年末のホーム2連戦を楽しみに、ミドルズブラへと帰省していった。

 加えて、「クリスマスが終わる頃には先が見えてくる」と言う識者が多いように、年末年始の戦績がシーズンの結果を左右しかねない点が、国民の観戦意欲を更にそそる。今季昇格1年目のクリスタルパレスは、ボクシング・デーの勝利で3カ月ぶりに降格圏を脱出。

 ファンにとっては、残留への吉兆とも受け取れる、願ってもないクリスマス・プレゼントだ。代わりに降格圏内で年を越したのは、計9失点で3連敗したウェストハム。敗者には気の毒だが、疲労蓄積が守備の綻びに繋がり、ハイスコアの試合が珍しくない傾向は、年末年始の連戦が人気を博す理由の1つでもある。

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