英国伝統のボクシング・デーとは?
英国のクリスマス翌日は、「ボクシング・デー」という祝日。名前の由来は、「教会が募金箱を開ける日」、「使用人が主人から箱入りのギフトを受け取る日」など、「Box」絡みの複数説がある。
今から十数年前、ボクシング・デーの試合会場で、「前夜から酒の抜けない選手が殴り合うからさ」と言って笑ったのは、当時『イブニング・スタンダード』紙に務めていたベテラン記者だった。
アルコール文化が根強かった一昔前とは違い、栄養管理の意識が変わった今時の選手たちに、酔った勢いでピッチ上“ボクシング”という冗談は当てはまらないが、クリスマス翌日にもピッチに立つ状況は変わらない。今季も、去る12月26日、プレミアリーグから4部リーグまで、全92チームが全国各地でリーグ戦をこなしている。
1990年代当時、まだプレミアには少なかった外国人選手たちは、イングランドの「勤労クリスマス」に戸惑っていた。年末年始のスケジュールを告げられた際、スタッフにからかわれていると思ったという選手の話を聞いたこともある。
欧州大陸の主要リーグでは、クリスマスに合わせたウィンター・ブレイクが一般的。ところが、ドーバー海峡を隔てた「サッカーの母国」では、逆に過密日程の消化を強いられるのだから無理もない。
さすがに、外国人選手が当たり前の現在では、彼らも休みのないクリスマスのことは聞き及んだ上でプレミアにやって来る。もちろん、休みが欲しいという声は漏れる。選手の体を考えれば、シーズン半ばの中断期導入が妥当だろう。
だが、例えば増加が著しいベルギー勢の1人であるエデン・アザールなどは、「休みなく試合が続いた方が調子を維持しやすいよ」と、健気な発言までしている。