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アジア 10年前

地元ファンは大きな失望感だが――。小野伸二の豪州クラブ退団が現地で完全スルーされた理由

豪州で活躍する小野伸二。年末年始にかけて日本ではコンサドーレ札幌への移籍報道で大きな話題となった。既に仮契約も結んでいるが、彼の地・豪州ではこの件はまったく報道されていないという。なぜなのか?

text by 植松久隆 photo by Taka Uematsu

退団の報道、日豪では大きな温度差

 今や、オーストラリアでも有数の有名な日本人と言っても過言ではない、小野伸二(ウエスタン・シドニー・ワンダラーズ 以下WSW)。その小野の今回の「移籍騒動」だが、ここオーストラリアでは「騒動」という表現は当たらない。

 12月20日、日本の報道を受けてのJ2札幌への移籍が取りざたされると、それに関しては複数のメディアが取り上げたが、「騒動」と言われるようなフィーバーはどこにも無かった。

地元ファンは大きな失望感だが――。小野伸二の豪州クラブ退団が現地で完全スルーされた理由
オーストラリアでは小野伸二の「騒動」という表現は当たらない【写真:Taka Uematsu】

 一方、日本からは筆者のところには、今お読みいただいている本稿を含んで数件の問い合わせや質問が届いた。そのことが示すように、日本での関心は高く、サッカー関連のカテゴリーでもトップレベルで扱われる注目のニュースだったようだ。しかし、残念ながら、ここオーストラリアでの関心度は、それに比して低いと言わざるを得ない。

 試しに、日本のグーグルで「小野伸二、札幌」というキーワードを検索してみる。すると、7日のコンサドーレ札幌・野々村芳和社長の帰国後の記者対応を元にした「小野、札幌と6月入団で仮契約」という内容の記事がずらりと並ぶ。

 翻って、オーストラリア版のグーグルはどうだろう。同じように「Shinji Ono,Sapporo」というキーワード検索を実施。検索結果の1ページ目に幾つかのニュース記事が上がるが、そのすべては今回の移籍報道が出た昨年12月(もっとも直近でも28日付)の記事で、年明け以降のものは一つも無い。ということは、7日の「仮契約」報道は完全にスル―されているということになる。

 あくまでも、目安としてのグーグル検索だが、その結果から見えてくるのが日豪両国での関心度の明らかな温度差。小野のようなAリーグのスター選手であっても、同時期に行われていた伝統のクリケットの英豪対抗戦(The Ashes)にサッカー自体の露出も押されているような状況下で、個人の話題でメディアを賑わせることは容易ではない。

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