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2015年の君たちは――。東京ヴェルディユース、花の92年組を追って:第3回 高野光司(前・FC町田ゼルビア)

これから、というときにケガ

 今季、町田は4位に終わり、J2昇格の目標を達成できなかった。

「上位のチームと比べ、それほど大きな差は感じなかったです。ただ、チームとしての戦い方の部分では違ったかな。相手はゲームの流れを読み、状況の変化に応じて、一体になって向かってきた。自分たちは前と後ろがバラバラになることが多くて。そこの差はありましたね」

 東京ヴェルディユースの92年組で、3つのチームを知るのは高野だけだ。この3年間をどのように振り返るのか。最初に、僕が何度か試合を見て、感じていたことを聞いてもらう。プロ入り後、高野の良さである1メートルの寄せの鋭さ、バチンと当たってボールを取り切る球際の強さ、それらを見た記憶がない、と。

「それ、父からもけっこう言われます(笑)。ヴェルディのトップに上がったとき、ケツさん(川勝良一監督・当時)からこうアドバイスされたんです。『1メートル行ける選手が5メートル行けたら世界が変わる。そこを強く意識しなさい』と。

 そうして練習に取り組み始めた矢先、ケガをしてしまって。復帰してからは身体のバランスに違和感がありました。動いていなかったせいか、それほど筋トレをしたつもりもないのに、どうも重くなった気がして。

 その頃からですね。意識はしているんですが、慎重になっているのを感じる。最近、ようやくボールに寄せる感覚が戻ってきたところです。こういう感じだったな、と懐かしく思ったり」

 その一方で、選手として大きくなった部分や蓄えてきたもの、内面的な成長があるに違いない。

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