ひとつの区切り、高卒3年目

「技術はまだまだですけど、だいぶマシになりました。僕はジュニアユースからヴェルディに入り、みんな巧いなぁとずっと尊敬していたんです。ふたりひと組のパス練でも、相手に迷惑をかけてはいけないとミスをしないことが第一。

　いまでは荒れたピッチでもダイレクトでパスを出せたり、ある程度は自信を持ってプレーできています。特に今年はくさびのパスに楽しさを見出し、精度やタイミングを追求したシーズンでした。自分でテーマを設定し、やり通せたのはよかったと思います」

　そして、「人間的にはちょっと明るくなった」と高野は笑う。サッカー以外のことにも目を向けられるようになり、北九州では海釣りにハマった。釣果は二の次で、のんびりした時間を過ごすのが好きだという。

　気になるのは、来季以降の動きだ。この時点では町田、東京ヴェルディともに契約についての発表がされていなかった。

「クラブとの話し合いは代理人の方に任せています。たぶん……ヴェルディとは今年で終わりです。3年契約だったので。来年、町田にいることもないと思います」（※8日、両クラブから契約満了が発表された）

　高卒プロ3年目は、ひとつの区切りとされる。何も特別なことではない。だが、それはあくまで「一般的」な傾向であり、このときの僕にとってはただの数字でしかなかった。インテリぶった分析はほかの誰かに任せておけばいい。そういうつもりで、この場に座っているのではない。とても残念だ、と短く言った。