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【特別対談】加部究&幸野健一:理不尽が横行する高校サッカーの非常識。真の「プレーヤーズ・ファースト」が浸透するために必要なこと(その1)

シリーズ:【特別対談】加部究&幸野健一 text by 森哲也 photo by editorial staff

ゴールは、やっぱり子供をしっかり自立させる

幸野 それはサッカーそのものがボトムアップ的な本質を含んでいるからでもあるんですよ。ピッチに出たら自分で考え自分で行動しなくてはいけないのがサッカーで、自分自身がリスクを負ってチャレンジして結果を得るものなわけじゃないですか。

 だからこそボトムアップ的なことをやって、自立させて、練習から常に自分で考える生き方をしていくことでピッチの中で大人になる。やり方はいろいろあっていいと思うんですよ。でもゴールは、やっぱり子供をしっかり自立させる。

 それがサッカーの結果に繋がる。99%はプロにならないけれど、その子たちが社会に出た時に自分の会社の社長に「うちの会社こんなことやってたら潰れちゃいますから、こうすべきなんですよ。だから僕がプロジェクトリーダーやりますから人を集めさせて下さい」といったようなことを言える社会人になる。

 そういう人材は今求められているわけじゃないですか。そうやって次の時代を引っ張ってくれる子たちを育てていかないといけないし、それこそ僕らサッカー界、スポーツ界ができることだと思う。

 今日本の教育は非常に憂慮する事態だと思うけど、それを僕らが改革することはできると思っていて、だから僕はこういうことをやってきたし、僕らが社会を変えていいと思ってるぐらいの気持ちではいますね。

(次回に続く)

それでも「美談」になる高校サッカーの非常識
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それでも「美談」になる高校サッカーの非常識
加部究・著
■高校サッカーの不都合な真実 ■指導者たちが抱えるジレンマ
■理不尽な指導がなくならない理由 ■「楽しむ」を悪にしない指導者たち
■未来 「育成」のあるべき理想像とは?

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