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【特別対談】加部究&幸野健一:理不尽が横行する高校サッカーの非常識。真の「プレーヤーズ・ファースト」が浸透するために必要なこと(その1)

シリーズ:【特別対談】加部究&幸野健一 text by 森哲也 photo by editorial staff

監督を評価できる人がいない。何をやっても治外法権になりがちです

――単純に強化だけじゃなくて、サッカーの裾野という意味でもこれだけ多くのサッカー部員たちが試合に出られず、そういう苦い思いでやっている現状はマイナスですよね。

加部 徐々には状況が変わってきていて、各チームともそれぞれのカテゴリーでリーグ戦に出られるようになったりとか、改革は進んできている。でも、まだ変えないといけないところは多いですね。

――今回の書籍でも使いましたが、昨年「フットボールチャンネル」で高校サッカー経験者の方にアンケートを取ってもらいましたよね。寄せられた声を見ると、公立などそんなにサッカーに力を入れてない高校は、体罰とかそういう問題も少なくて、むしろ指導者が事実上不在だったりする。一方で強豪校、伝統校など、すごくサッカーに力を入れているところでは問題のあるケースが多かったですよね。

加部 結局、監督を評価できる人がいない。だから、何をやっても治外法権になりがちです。父兄はもちろん、同僚の教師もどんなことが行われているかは知ってるんだけれども誰も口を出せない。要するに独裁体制が長年築かれているような状況でそういう問題が起きている。

 これは高校に限らず四種、中学、それに大学にしても同じ傾向があります。やっぱり学校の体育が中心になっているのがひとつの問題点じゃないですかね。体罰で自殺した桜宮高校のような本当に大きな事件が起こらない限り、体制が変わらない。そこがクラブチーム中心でやってる他の国と全く違うところでしょうね。

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