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【特別対談】加部究&幸野健一:理不尽が横行する高校サッカーの非常識。真の「プレーヤーズ・ファースト」が浸透するために必要なこと(その1)

シリーズ:【特別対談】加部究&幸野健一 text by 森哲也 photo by editorial staff

サッカーをずっとやり続けられる選手を育てることが、指導者の一番の役目

【特別対談】加部究&幸野健一:理不尽が横行する高校サッカーの非常識。真の「プレーヤーズ・ファースト」が浸透するために必要なこと(その1)
【写真:編集部】

幸野 でも、現場に行くと相変わらず怒鳴りまくる指導者はたくさんいるわけです。講演会に行ったり、こういった本を読んだり、SNSを活用したり、そういった人たちは学ぶ指導者で、僕の感覚では全体の2割ぐらいなんですよね。

 パレートの法則じゃないけど残り8割の人たちをいかに引き上げていくかっていうことを一生懸命考えてたんだけど、現状はそれよりも2割の学ぶ指導者たちをもっともっと引き上げてあげて、その人たちのことをもっと発信してあげたり、影響を及ぼすようにやってあげた方がいいんじゃないかと考え方が変わってきました。

 他の競技と比べたらサッカーは一番まともだとは思います。だけど、やっぱりまだまだおかしなことはあるわけで、そういうことをなくして、誰もが一生涯サッカーを楽しめるようにしなくちゃいけない。

 僕自身がなんでサッカーをずっとやっているかといったら、サッカーは生涯やり続けられるものだし、その見本のひとつになりたい、という気持ちがあるからです。それだけサッカーは魅力的だし、人生を彩り豊かにしてくれるものです。

 そしてサッカーをずっとやり続けられる選手を育てることが、僕は指導者の一番の役目だと思ってるんですね。だって99%はプロにならないわけですから。サッカーを生涯スポーツとして、みんなが楽しめる社会を実現すれば、奥さんもサッカーが好きで子供もサッカーが好きで、その連鎖がもっとサッカーという文化を日本に広めることになる。

――負の連鎖じゃなくて、プラスの連鎖にするということですね。

幸野 そうです、せっかくサッカーに関わった子たちが、様々な理不尽なことによって辞めていかざるを得ない現状を僕はもうずっと何十年も憂慮してきたし、それをなんとか変えたいとずっと思ってきたんです。僕は生涯スポーツ立国論をいつも唱えてるんですけど、誰もがスポーツをできる環境を実現することが一番の日本のサッカー強化方法だと僕は思ってます。

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