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Jリーグ 10年前

なぜJリーグは改革に踏み切ったのか? 矛盾を抱えても見切り発車した背景を読む

text by 藤江直人 photo by Kenzaburo Matsuoka

突然の再検討迷走劇の行く末は?

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【写真:松岡健三郎】

 Jリーグは10月30日、ACL出場経験のある12クラブの実行委員らを集め、新大会方式が抱える諸問題に関する意見交換会を開催。終了後にブリーフィングを行った大東和美チェアマンと中西理事は、一度は決定に至った新大会方式を事実上白紙撤回し、再検討すると明言した。

 迷走劇と批判されるのを覚悟の上で、あえて一時後退する道を選んだ理由は、新大会方式が抱える致命的な欠陥が露呈した点に集約される。ポストシーズンに進出するチーム数を「5」で固定する場合、2ステージ制では「負けた方が有利になる」チームが出てくる可能性をどうしても排除できなかったという。

 具体的にはどういうことか。年間の総合勝ち点1位のチームと両ステージの2位以内のチームが重複した場合の対処策として、年間の総合勝ち点2位以下のチームを繰り上げで出場させる案が早い段階から有力視されていた。ここで看過できないのが、年間の総合勝ち点1位のチーム『A』が特に第2ステージで2位以内に入ることで、利益を得るチーム『B』が現れてしまう点だ。

 例えば、第2ステージの終盤戦で『A』と『B』の対戦が組まれているとする。すでに年間の総合勝ち点で『B』の2位ないし3位が動かなければ、端から『B』は勝利を捨てて『A』の第2ステージ2位以内を確定させ、自らも繰り上げでのスーパーステージ出場を狙うだろう。

 フェアプレー精神をあからさまに冒涜する行為であり、しかもサッカーくじ『toto』の実施対象であることも見逃せない。起こりうる確率は決して高くはないものの、実質的な八百長となる状況をむざむざ生み出すことはできないわけだ。

 さまざまな状況をシミュレートしてきたJリーグ関係者が、大会方式が差し戻された舞台裏を明かす。

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