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なぜネイマールは機能しメッシは守備をするようになったのか? バルサと数学の意外な関係性

text by 村松尚登 photo by Kazhito Yamada / Kaz Photography

ネイマール加入で起こった変化

 わかりやすく言うと、こういうことです。

 ピッチ上に選手を4-3-3システムで並べ、各ポジションを線でつないでみてください。様々な方向に向かう線が多数絡み合うと思います。これを一本の線で結びつけることなど、到底できません。こうして生まれた線の集合体が、「非線形」のイメージです。

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今シーズンからバルサに加入したネイマール【写真:Kazhito Yamada / Kaz Photography】

 バルセロナに置き替えて言うと、2013-14シーズンからネイマールが加わりました。そして、選手間のよりよい相互作用を引き出す役割を担うヘラルド・マルティーノが監督に就任しました。

 ここで重要視しなければいけないのは、ネイマール個人の話ではない、ということ。

 例えば、メッシとネイマールの相互関係はどうなるのか。まず、ネイマールが入ったことで、サイドに一対一の強さが生まれるでしょう。中央にメッシがいるので、相手にとっては最も困難な相互関係が生まれます。チーム戦術、プレーモデルのマイナーチェンジとしても、相手が嫌がるプレーになっていると言えます。

 さらに彼らの近くには、セスク・ファブレガスやチャビがいる。最終ラインにはプジョルやバルトラがいます。ネイマールがピッチの上で輝きを放つためには、実に様々なチームプレーを必要としているのです。

 そもそも、プレーモデルは環境要因やクラブ要因を加味して作らなければいけないというのが、戦術的ピリオダイゼーション理論の根底にあります。選手の個性、監督の好み、ファンが求めるサッカー、スタジアムの状況、芝生の長さ、気候、様々なものを踏まえたうえで、理想のプレーモデルは確立されます。また、それと同時に、時間の経過とともにマイナーチェンジもし続けています。

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