なぜネイマールは機能しメッシは守備をするようになったのか? バルサと数学の意外な関係性

グアルディオラが去ったバルセロナは、一時の輝きを失ったと言われたが、それでも、現在バルセロナはリーガを独走している。書籍『バルセロナの哲学はフットボールの真理である』では、一貫したフィロソフィーの根幹に迫っている。同書の監修者である村松尚登氏が解説する。

2014年01月18日(Sat)16時16分配信

text by 村松尚登 photo Kazhito Yamada / Kaz Photography
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サッカーはカオスでありフラクタルである

 書籍『バルセロナの哲学はフットボールの真理である』(カンゼン)の著者・オスカル氏の考え方をより深く理解していただくために、「戦術的ピリオダイゼーション理論」について説明しておきましょう。

 戦術的ピリオダイゼーション理論は、ポルト大学の教授ヴィトル・フラーデ氏によって、30年以上も前に提唱されました。サッカーを「カオスでありフラクタルである」と定義づけた専門的なトレーニング理論で、私も同理論を日頃の指導に応用しています。

 同理論についてもう少し詳しく説明します。

 数学や科学の世界では、“全体は各部分部分の総体である”とする「要素還元論」が主流です。これと同じ立場の考え方が「線形科学」であり、身近な例として「1+1=2」「2×2=4」といったように「=」で左右の事象をシンプルにつなぐことができます。

 ところが、非常に多くの要素が複雑に相互作用を及ぼし合い、けっして線形の数式では表せないものがあります。代表的なものが、気象現象です。

 もし気象現象を「線形科学」で計算できるのであれば、天気予報の降水確率は30%や50%といったあやふやなものではなく、「明日の東京は、午前9時から雨が降り、午後2時には必ず止みます」といった確定的なものにならなければいけません。しかし、実際はそのようにはなりません。

 同様に、サッカーも「要素還元論」あるいは「線形科学」で表せるものではなく、もっと複雑に絡み合った構造を持っているものです。

 それを理解するために、「カオス理論」や「複雑系」という考え方が生まれました。つまり、一本の線ではつなげられない「非線形科学」です。

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