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内田篤人 10年前

ドイツ人記者が探る、内田篤人がシャルケで愛される理由

text by ダビド・ニーンハウス photo by Ryota Harada

「僕らが疲れている時や弱っている時に、ファンが助けになります」

 自分のチームの右サイドを思い描き、「ウッシーがジェフ(ジェフェルソン・ファルファン)と一緒に右サイドでプレーするのを見るのは楽しいね。いつもライン際で上下動を繰り返している」と、ドラクスラーは2人を称賛する。

 実際に、ゴールを奪う責任を負っているのはファルファンの方ではあるが、内田もゴールを狙える場面はそれなりにやってくる。専門家の目には内田のゴールへの意識は物足りなく映っており、ゴールを奪うのは珍しいことだ。

 チャンピオンズリーグのステアウア・ブカレスト戦での内田のゴールの後、「ウッシーの非常にクレバーなプレーだったね。ちらりと見やっただけで、あとはボールをファーサイドのコーナーに蹴り入れたんだ」と、ヘルトSDは顔をくしゃくしゃにして笑った。

 クロスがゴールになった場面は、2013-14シーズンにもう一つあった。フランクフルト戦で送った鋭いクロスが、ヨハネス・フルムに当たってオウンゴールになったのだ。

 こうして内田は、シャルケでカルト的な人気を得る選手への道を歩んでいる。かつてはイヴェス・アイゲンラウフという人気選手を呼ぶ声が「イーーーーヴィス」とスタジアムに響き渡ったものだが、今ではその声は「ウッシーーーーー」に変わっている。

 ファンは「ウッシー」を愛しており、本人もこの環境を楽しんでいる。「シャルケのファンはとても情熱的で、パワフルです。素晴らしいですね」と25歳のライトバックはビデオインタビューで語っている。

「僕らが疲れている時や弱っている時に、ファンが助けになります。全力で後押ししてくれるから、おかげで僕らは前へと進むエネルギーを取り戻せるんです」

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