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戦術大国イタリアが脅威の分析「ペップ・バイエルンはたった1つの練習しかしていない」

こと戦術の研究において、イタリアは世界一だ。そんな戦術大国であればペップ・バイエルンの弱点が見つかるはずだ――。そんな企画は脆くも崩れた。だが、収穫はあった。カルチョの国きっての戦術家は徹底的にバイエルンを研究していたのである。『欧州サッカー批評09』(2月13日発売)では、伊サッカー協会に身をおき、名だたる名将もその理論を参考にしているという、マッシモ・ルッケージ氏に解析をお願いした。

text by 宮崎隆司 photo by Kazhito Yamada / Kaz Photography , Ryota Harada

戦術大国が最も注目するペップ・バイエルン

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ジョゼップ・グアルディオラ【写真:Kazhito Yamada / Kaz Photography】

 ルッケージ氏は冒頭、今回の取材目的『イタリア人戦術家がバイエルンを丸裸にする』を伝えるとこう即答するのである。

「それ(彼らバイエルンを丸裸にするなどということ)は出来ない、そう言う以外にありません。なぜなら、多くの国々のサッカー関係者がそうであるように、我々もまた同じようにペップのサッカーから実に多くのことを学ぼうとしているからです。

 もちろんあのサッカーに抗する手段を見出そうともしてはいるのですが、残念ながら今はまだあくまでも研究の対象であって、ただただその揺るぎなき概念(独自のサッカー哲学)と洗練されたスタイルに敬意を払いながら学ぶだけという域を出ていません。

 協会技術委員会の末席にある一人として、国内の実態を広く知っているからこそ、そう考えるのが何も私個人に限ったことではないと断言できるのです。やや誇張しているようにも聞こえるかもしれませんが、それ即ちペップへの敬意はまさにイタリアの全土に共通するものなのです。

 それほどまでにペップが実践するサッカーは素晴らしい。強いだけでなく美しく、かつ“しなやか”です。間違いなく、彼のそのサッカーは20年、30年の後に、かつてのアリゴ・サッキのミランと並び称されるでしょう。

 もちろん、ひとつの輝ける時代を築き上げた名将として、またそれを成し得たクラブとして。それほどまでに彼がバルセロナで、そして今バイエルンでみせているサッカーとは魅力に富むものだと思うのです」

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