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長友佑都 10年前

コロンビア代表クアドラードとのW杯前哨戦。長友が制したセリエA最高のアウトサイドとの激闘

text by 神尾光臣 photo by Getty Images , Kazhito Yamada / Kaz Photography

クアドラードも長友を警戒

 クアドラードもまた、長友を警戒していた。ゴール前の守備からカウンターを掛ける時、インテルの選手たちは左のオープンスペースへ素早くパスを出し、長友を走らせようとする。だがその時、前線にいたクアドラードは全速力で戻る。

 やがて彼は長友がパスをトラップしたと同時に追いつき、突破を止める。他のチームだったらゴール前まで進み、クロスを上げるところまで行けていたようなところでも、クアドラードは戻って足を出すのだ。

 だが前半34分、インテルが先制したシーンでは長友の守備がクアドラードを凌駕した。相手が右サイドのスペースに流れ、エリア手前でドリブル突破を仕掛ける。ぴたりと付いた長友はクアドラードの右を切って、スピードに乗せず、最終的に横パスに逃させる。

 そしてそこで、クズマノビッチがインターセプト。インテルはカウンターで一気に敵陣を破り、さらに長友も素早く攻め上がって、右クロスをゴール前で拾って折り返している。やがてそれはジョナタン、グアリンと繋がり、パラシオのゴールへと結実した。

 クアドラードもこれで黙ってはいない。後半2分にはミドルシュートを突き刺し、自ら同点に持ち込んだ。もっともその際長友はCKのショートコーナー対策で別のサイドに寄っており、これは彼の責任ではない。

 むしろ、致命的なミスになりかねなかったのはその2分後だ。攻め上がった後でクアドラードを見逃し、マークに付き遅れる。幸いクロスは逸れたが、失点につながってもおかしくはなかった。

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