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試合巧者だったアトレティコ。セードルフ体制で最高の試合で、ミランはなぜ敗れたのか?

CLベスト16、アトレティコ・マドリーをホームに迎えたミランだったが、ジエゴ・コスタの一撃に沈み、0-1で敗れた。内容的にはセードルフ監督の就任以降では最高のものだったが、なぜ勝利を得られなかったのだろうか。

text by 神尾光臣 photo by Kazhito Yamada / Kaz Photography

「ゴールキーパーの差で試合は決まった」

 ミランにとっては、実に惜しい試合となった。

試合巧者だったアトレティコ。セードルフ体制で最高の試合で、ミランはなぜ敗れたのか?
ティボ・クルトワ【写真:Kaz Photography】

 14分、細かく右サイドを崩したのちに、ターラブトからフリーになったカカヘ絶妙なパスが入る。そしてカカは左足で絶妙な回転を掛けたミドルを放つが、惜しくもバーを叩いた。その4分後にはターラブト自らが正確なクロスを放ち、前線に飛び出したポーリがヘッドで合わせた。

 もしこのチャンスに立ちはだかった相手のGKがクルトワでなければ、試合はここから全く別のシナリオに沿って展開した可能性もある。試合後、会見室に集まった地元記者の間では「実際ゴールキーパーの差で試合は決まったようなもので、そうでなければミランが勝っていた」などという雑談が上がっていたのである。

 しかし、結果は無得点の末に、アウェーゴールを献上しての敗戦。セードルフ監督の就任以来最高の内容という試合をしながらも破れた要因は、クルトワとアッビアーティの差以外に、一体どこにあったのだろうか。

 リーガで周囲を争うチームに対して、攻撃も、守備も通用していた。守備の堅いアトレティコ・マドリーだが、攻撃的な選手を起用するSBには隙がある。「アトレティコ・マドリーにも弱点がある」、セードルフ監督は、そこを重点的に突かせたのである。

【次ページ】機能していたポーリ
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