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日本人選手ゼロ、近年低迷も会員数3倍に。なぜリバプールファンが日本で激増したのか?

text by 永田到 photo by Kazhito Yamada / Kaz Photography , LSCJ

リヴァプールではなくリバプールに

 今季からLSCJに入会した依田透氏は、サポーターの間で「カリスマブロガー」として広く知られている。ブログのアクセス件数が月平均で20万にもなる依田氏は、自身のブログ運営経験をもとにLSCJを通じてある提言を行った。

 2013年12月に開設された、リバプールFCの日本語版オフィシャルfacebookアカウントにおける表記について、当初「リヴァプールFC」とされていたものを「リバプールFC」に変更するようリバプールFCに強く勧めたのだ。

 英語での本来の発音に近いのは「リヴァプール」であり、日本のサッカーメディアでこの表記に統一しているところも多い。しかし依田氏の経験上、日本人ファンがインターネット検索をする際は「リバプール」での表記の方が圧倒的に多いという。

 このようなインターネット検索対策(SEO対策)は、近年の組織プロモーション戦略において要となっており、日本人としての感性を熟知している人物がこうした提言を行える環境は極めて貴重だ。

 こうして、サポーター組織とクラブが双方のリソースを相互活用して業務のクオリティーを高めていく様子には、”You’ll Never Walk Alone”というフレーズのもとに存在する、サポーター組織とクラブの関係性の強さを強く印象づける。

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2013年からミュージアムに掲げられる日本人の写真【写真:LSCJ】

 聖地アンフィールドに併設されている「アンフィールド・フットボールミュージアム」には、2013年から日本人の写真が壁に掲げられている。「リバプール必勝」と書かれた横断幕とともに、他3人のサポーターと一緒に写っているのは、現在のLSCJで唯一現地リバプールに在住している石井啓太氏だ。

 2013年9月に行われたマンチェスター・ユナイテッド戦。サポーターズクラブの優先購入権で最前列のチケットを確保した石井氏は、一つの作戦に打って出る。

「テレビに映るかもしれないから、そこでサポーターズクラブの宣伝をしよう。イギリスでは最近、漢字をロゴに取り入れたファッションブランドが流行している。だから横断幕に漢字を入れておけば、現地で注目されるはず」

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