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香川真司 10年前

韓国ではアンチ増加も莫大な経済効果。香川真司がマンUに必要とされた理由

text by 鈴木英寿 photo by Kazhito Yamada / Kaz Photography , Asuka Kudo / Football Channel

香川加入によるアジア展開

 ページをめくると、マンチェスター・ユナイテッドのユニフォームに身をつつんだウェイン・ルーニー、アントニオ・バレンシア、そして香川真司の3選手がポテトチップスの『ミスター・ポタト』のユナイテッドバージョンの商品を手にし、正面を向いている写真が見開きで使われている。

 特集記事のタイトルは「フットボールスポンサーシップのデリケートな一面」。マンチェスター・ユナイテッドのセールス戦略について紙面が割かれていた。

 A氏は言う。

「この記事に登場するリチャード・アーノルドこそ、ユナイテッドのスポンサーセールス戦略を推進する中心人物です」

 コマーシャル・ディレクターのアーノルドの姿は、ユナイテッドとグローバルパートナーシップを締結した関西ペイントの発表記者会見で拝見していた。オールド・トラッフォードの記者会見には香川真司も登場。アーノルドはクラブを代表して、会見に臨んでいる。

「ユナイテッドがプレゼント攻勢を日本でも展開したということは、それは本気で、日本マーケットに殴り込みをかけた証拠ですね。香川が加入したことで、ここが勝負どころであると踏んだのでしょう。

 その手法は、イギリス国内はもとより、北米や韓国でも行った手法です。まず相手が喜ぶと彼らが考えるプレゼントを贈り、企業トップとアポイントを取る。取締役はもとより、広告代理店は一切介しません。『なぜ代理店を使わなければならない? 我々は“あの”マンチェスター・ユナイテッドだぞ』というのが、彼らの態度なのです。

 傲慢? そうですね、そう思われても不思議ではないでしょうね。ただ、そのアプローチにより、アメリカからはシボレーやエーオン(AON)、ドイツからはDHLといった国際的企業を引っ張ってきたわけですから、今後もやり方を変えるとは思えません。私には、経費の無駄使いにしか見えませんが(笑)」

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