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香川真司 10年前

韓国ではアンチ増加も莫大な経済効果。香川真司がマンUに必要とされた理由

text by 鈴木英寿 photo by Kazhito Yamada / Kaz Photography , Asuka Kudo / Football Channel

プレミアリーグクラブ関係者A(30代、男性、イングランド国籍)の話

 筆者は当時、マンチェスターに拠点を置いていたが、アジア人と見られる多数のファンを街中やスタジアム近辺で見かけてきた。確かに日本人のファンは増えたと思うが、他の国々のファンを圧倒するまでの大多数ではない。

 また、(2)の分配金はチームの勝利(チーム順位)によって変動するもので、決して香川一人による貢献ではないだろう。たとえば、エースのファン・ペルシがゴールを量産し、そのおかげで優勝したからと言って、個人の功績が放映権収入増につながったと安易に見るのは愚かしい分析である。

 香川真司が加入したことで得られた最大のコマーシャル効果は、(3)の「営業収入」(日系スポンサーの獲得、そしてグッズ販売増)において見られた。

 今回、私はフットボールビジネスの最新情報が集まるロンドンで、2人の関係者から話を聞くことに成功した。2人とも匿名を希望しているので、実名は伏せるが、いずれもプレミアクラブのコマーシャル分野に深い関係がある業界人とだけ明記しておこう。

「マンチェスター・ユナイテッドがプレゼント攻勢を仕掛けている」――そんな噂が日本のサッカー業界内を駆け巡ったのは、昨年の秋口だった。

 一体全体、何のことだかさっぱり分からなかったが、各方面からの情報を総合するとこういうことだった。

「複数の日系企業の社長のもとに、ユナイテッドからユニフォームなどのプレゼントとレターが届く」

 この戦略はどのような意図をもって行われたのだろうか。プレミアのビッグクラブでセールス担当の実績を積み、現在はロンドンでスポーツマーケティングのスペシャリストとして活躍するA氏は、イギリスのサッカー専門誌『Four Four Two』誌の2013年5月号(No227)を持参し、こう説明してくれた。

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