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連載コラム 10年前

W杯前に知っておくべきブラジルフッチボール。謎の企業“トラフィック”はサッカーの敵か、味方か(その3)

ブラジルでも有数の恵まれた環境の育成組織

W杯前に知っておくべきブラジルフッチボール。謎の企業“トラフィック”はサッカーの敵か、味方か(その3)
クラブハウスの1階には近代的なジムがあり、いつでもウエイトトレーニングが可能【写真:田崎健太】

 DBのクラブハウス2階は寮となっており、廊下には額装された写真が並べられている。その写真に写っているのは2002年W杯で優勝した後、カップを掲げるカフーなどブラジル代表、あるいは世界の著名選手である。こうした写真を見て、選手たちのモチベーションを高めていくのが目的なのだとゴエスは説明した。

 1階には近代的なジムがあり、いつでもウエイトトレーニングが可能だ。また学校とは別にクラブでは英語のクラスがある。選手たちは国外移籍に必要な英語を学ぶのだ。

 もちろん、食堂も完備している。バイキング方式になっており、ブラジルの主食である、油で炊いた米、フェジョン(豆)に加えて、パスタ、肉、魚などが取り放題である。食後のフルーツ、珈琲も準備されている。食堂の隣には、ビリヤード台が備え付けられてあり、空き時間を過ごすことが出来る。

 ユニフォーム、練習着、スパイクの他、普段着としてTシャツ、短パンもチームのスポンサーであるナイキから提供されている。

 ぼくが取材に訪れた日は、たまたま入団予定選手の父兄説明会が開かれていた。20組の親子が来ており、学校、小遣い、衛生面など様々な質問をしていた。

 ブラジルでこれほど恵まれた環境の育成組織を備えているのは、サンパウロFCぐらいだろうか。

「クラブの創立は2005年のことだった。それから4年間はサンパウロ市の外れの練習場を使用していた。ただ、今よりも選手の数が多く、指導方法も統一されていなかった。2009年にトレーニングセンターが完成し、今のシステムとなった。

 練習に集中できる環境を整えたこと、そして指導方針が一貫したことで、17歳の選手のうち、90%を売却できる見込みだ」(副会長のアレッシャンドレ・パサロ)

 彼らが目指しているのは「fadrica do jogador」(選手の工場)である。この工場からは次々と製品が出荷されている――。

【次週に続く】

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