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浦和、無観客試合にファンは悲鳴「あんな静かな埼スタはもう見たくない」

text by 編集部 photo by editorial staff

「僕たちの声援を届かせましょう!」

 誰もがまざまざとその様子に見入り、一瞬だけ店内は静まり返ったが、間髪入れずに「ウラーワ、レッズ!」のコールが始まった。

「今日は無観客試合になってしまったけれど、僕たちの声援を届かせましょう!」

 中心となる男性サポーターがそう呼びかけると、店内から拍手が沸き起こった。試合が始まると浦和サポーターは試合の行方を固唾をのんで見守りつつ、時折コールを繰り返して声を枯らした。前半19分、清水エスパルスに一瞬の隙を突かれて先制されると、すぐさま「ウラーワ、レッズ!」と選手たちを鼓舞するべくコールが鳴り響いた。

 それはいつもの光景、浦和サポーターの日常だった。

 『RIKI』の店の外に詰め掛けた報道陣は、カメラの台数だけでも5台以上。店のビニールのカーテンを境に、店の外は明らかに社会問題化した物々しい雰囲気の非日常が広がっていた。

 試合が始まる直前、店内の浦和サポーターが報道陣に店外に連れ出されてインタビューを敢行されていたが、そのサポーターは戻って席につくなり「なんて答えていいかわからないよね」とだけ言って、すぐに店内のテレビに噛りつくように応援を再開した。

「僕らは変わらず応援するけどあんな静かな埼スタはもう見たくない。これっきりにしてほしい」

 店にいたあるサポーターはそう言った。

 この日浦和レッズは清水エスパルスと1-1で引き分けて勝点1を積み上げて7とし、4節を終えて5位につけた。一部サポーターの愚行により、埼玉スタジアムでホームゲームを応援する機会は奪われたが、彼・彼女らの日常までは奪われなかった。

【了】

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拝啓、浦和レッズ様 そのレッズ愛、本物ですか?

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