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Jリーグ 10年前

その“1センチ”で何かが変わる。試合をさらに熱くするためにサッカー観戦者に提案したいこと

text by 海老沢純一 photo by Kenzaburo Matsuoka

大宮に住む全ての人々が誇れるスタジアムになるためには

 しかし、NACK5に限ったことではないが、少しだけ気になったのはゴールシーンで立ち上がって喜ぶファンの少なさだ。サッカー観戦の醍醐味は何といってもゴールシーン。ゴールのときに立ち上がって喜びたいからスタジアムに通うという人も少なくはないはずだ。

 シュートチャンスが訪れた瞬間に腰を1センチ浮かせてほしい。シュートを外したら中腰で止めることになるが、それもゴールへの欲求として選手に伝わるはず。

 そして、ゴールを決めた瞬間にスタンドの全員が立ち上がって喜べば、それは選手にとって大きな後押しとなる。隣の人とハイタッチするのもいい。アルディージャを愛する人にとって、NACK5スタジアムは週末に帰るべき家。その家に帰れば、みんな家族なのだから。

 そうやって試合に入り込んで応援すれば、2得点のヒーロー・家長が交代を告げられピッチを後にする際には、スタンドの全員がスタンディングオベーションで見送ることが出来ただろう。

 自らのホームで、しかもエースと目される男が2ゴールを決めての4-0。これほどに気持ちのいいことはない。だからこそ、ファンはもっともっと、英雄たちを讃えてほしい。

 NACK5はトラックの無いサッカー専用スタジアム。訪れたファンが一つにまとまれば、その一体感は他のスタジアムでは味わえないほどの雰囲気を作り出すに違いない。

 そして何より、その一体感こそが初めてスタジアムに訪れた人々を2度、3度と足を運ばせるきっかけとなる。「テレビのCL観戦より、生のJ観戦!」だと。

 そんな評判が広まれば、大宮近辺に住む全ての人々がアルディージャというクラブと、NACK5スタジアムという素晴らしいスタジアムが存在することを誇りに思える日が来るはずだから。

【了】

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