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Jリーグ 10年前

英国人記者が指摘する2ステージ制の矛盾。「リーグのためにならない。昨季の大宮が優勝しても何の意味がある?」

来日30年。マイケル・プラストウ氏は、日本サッカーの黎明期から見つめ続けている英国人ジャーナリストだ。人種差別の問題や、J3創設、2ステージ制、秋春制以降問題などJリーグは新たな転換期を迎えている。プラストウ氏は、そんな日本サッカーの現状をグローバルな視点から語ってくれた。第4回は、2ステージ制や秋春制問題について。

text by 海老沢純一 photo by Asuka Kudo / Football Channel

多くの矛盾を抱える2ステージ制

――Jリーグは、2015年から2ステージ制を導入することを決定しました。

英国人記者が指摘する2ステージ制の矛盾。「リーグのためにならない。昨季の大宮が優勝しても何の意味がある?」
Jリーグは2015年から2ステージ制を導入する【写真:工藤明日香 / フットボールチャンネル】

「去年発表したものは、かなり物足りない考え方だったと思いますよ。これから整理するのかも知れないけどね。今発表されている、前期1位、2位と後期1、2位が年間チャンピオンシップを争うのは、まずあり得ない。5つ違うチームがそのまま上がることもまずないですね。

 しかし、それより心配するのは、誰もが納得できないチームが優勝することです。昨年だったら多分、大宮アルディージャとアルビレックス新潟が入るでしょう。最終的に大宮や新潟が優勝したら、優勝に何の意味があるのですか?」

――リーグ戦はカップ戦ではありませんからね。

「カップ戦だったら、どのチームでも優勝出来るような大会に作られている。ノックアウトラウンドは誰が勝つか分からない。リーグは年間総合で一番強いチームを選ぶもの。誰が見ても強いチームを決めることは大事なこと。

 そのために1ステージ制は一番確実ですが、少なくとも確実に強い4、5チームがプレーオフへ進むのが大事です。例え、2ステージ制であっても、プレーオフは年間順位上位4チームであればいいはずです。

 前期、後期の上2つではなく、前期優勝チームにはチャンピオンプレートを与える、後期にも与える。ステージ優勝を別な賞にして、ステージ優勝したチームは年間4位内に入らなくても、“それでいい”と考えるべきです。それでも一つ素晴らしい賞を貰っているんですから。

 優勝するための作戦も少し変わりますね。年間順位は例え、陸上100メートル走の“準決勝は勝つためではなくラインに残ることが大事”というのと同じようになるし、それもいいと思います。

 プレーオフの準備をするために最後の2、3試合に負けてもいいという展開にもなってしまう場合があるが、それも面白いです。しかし、第1ステージを2位になって、残り18試合を負けても優勝の可能性が残るのは、ちょっと納得出来ないですね(笑)」

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