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Jリーグ 10年前

英国人記者が指摘する2ステージ制の矛盾。「リーグのためにならない。昨季の大宮が優勝しても何の意味がある?」

text by 海老沢純一 photo by Asuka Kudo / Football Channel

現状の方式では「国内外で評判が悪くなる」

――確かに、2ステージ制には多くの矛盾が生じてしまいますね。

「改革そのものには反対しない。でも、弱いチームが優勝してしまうようなら笑い者になってしまう。たとえば、大宮が昨年優勝していたとしたら、誰がそれをまじめに受け止めるでしょうか?

 そんなことにはならないという意見もあります。でも、きっとなるでしょう。J2プレーオフは『6位が勝つ訳が無い』といわれながらも、初年度から大分トリニータが6位で昇格してしまった。

 Jリーグをお金儲けではなく、真面目なサッカー大会として尊敬を求めるのならば最も強いチームが優勝しなければならない。

 もちろん客観的に一番良いチームが優勝するとは限らない。審判のジャッジや不運によって試合を落とすこともある。それで結果的に優勝しないこともあるでしょう。でも、決める方法としてリーグは一番確実。一番間違いが少ないでしょう。それに一番近い方法で行くべきです。

 最終的にどうなるかは分かりませんが、昨年発表した方式でやることはリーグのためにならない。国内外で評判が悪くなるでしょう」

――さらに、秋春制への以降も検討しています。

「秋春制にするのは、経営の面ではプラスになるでしょう。移籍期間の面でも同様です。しかし、寒い地域の人が試合に来るのかは心配です。秋田や山形では難しいですね。

 イングランドでは、雪はほとんど降りません。その代わり、雨には問題がありますけどね。イングランドやスペイン、イタリアと同じように考えるのは危険ですよ。

 ただ、ドイツやロシア、北欧ではウィンターブレイクを取り入れています。同じようにJリーグでも取り入れれば出来ないことは無いと思います。ですから、強い反対も賛成もしません」

【了】

プロフィール

マイケル・プラストウ
1959年、英国ウェスト・サセックス州のクロウリー出身。1980年の来日以来、30年以上日本サッカーを見守っている。1991年からはイギリスのサッカー専門誌「World Soccer」の駐日記者として、日本代表、Jリーグを取材。日本サッカーの魅力を世界に発信している。また、NHK国際局などで、放送原稿の執筆、翻訳業務を担当。群馬大学、日本大学の講師も歴任。著書に「FOOTBALL ENGLISH―サッカーを愛するあなたに捧げる用語と写真」ほか多数。

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