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2015年の君たちは――。東京ヴェルディユース、花の92年組を追って:第6回 高木善朗(清水エスパルス)

「それまでは試合に出られない選手の気持ちなんてわからなかった」

「驚きというよりは、イメージ通りです。ジュニアユースで出会った頃から、ヨシアキは常に高いレベルを意識していて、きっとそうなるんだろうなと思っていた。そのまま成長していったのがすごい」(渋谷亮・中央大3年)

「一緒にやったと言えるのは中2まで。あいつは中3の頃にはユースの試合に出ていましたから。僕と2トップを組むことがあって、全然パスをくれないんですよ。だいたい自分でシュートを打っちゃう。たまにはこっちにもボールをくれよと思ってましたね。

ユウキ(小林祐希・ジュビロ磐田)やヨシアキは要求がはっきりしていて、かなり文句を言われたのを憶えています。言い方がきつくて頭にくることもあったけど、指摘は的を射ていたし、そのおかげで全体の基準が引き上げられた」(相馬将夏・法政大3年)

 かたやヨーロッパでプロとして身を立て、かたやアマチュアリーグでプレーする学生。彼らは別世界に生きていた。だが、そのじつ確かな繋がりを持っていたのは、次の高木の話からよく伝わってくる。

「思い通りにいかないことはありましたが、マイナスばかりではなかったです。正直、それまでは試合に出られない選手の気持ちなんてわからなかったんですよ。自分が試合で使われない、メンバーにも入れない状況に直面し、ふと昔のことを思い返していた。

リョウやシン(山浦新・慶応大3年)、ユウキだって出られない時期があった。あいつら、こんな気持ちで練習をしていたんだ、ここから這い上がったんだ、と。それでも腐らずにやっていたから、ユースの最後はレギュラーを掴み、タイトルを獲ったんだ。いまの自分もここが踏ん張りどころだぞと思えた」

 身体づくりを見直す地道な日々が始まった。指導者から促されるのではなく、自発的にフィジカルの強化、体幹を鍛えるトレーニングに取り組んだ。何かを変えなければいけない。あいつらも変わろうとして変わっていったんだ。そう思うと、筋トレは途切れることなく続いた。「昔はストレッチすらろくにしなかったんですけどね」と高木は笑う。

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