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2015年の君たちは――。東京ヴェルディユース、花の92年組を追って:第6回 高木善朗(清水エスパルス)

途中出場と90分出場の違い

 清水でのデビュー戦は、3月19日のナビスコカップ、ベガルタ仙台とのゲームで訪れた。試合は4-0で清水が勝利し、高木はフル出場。3点目、ノヴァコヴィッチのゴールをアシストしている。放ったシュートは3本。1本はポストを叩く惜しいものだった。

 チームに必要とされる最善手は、何よりも結果であることを高木は知っている。ユトレヒトでは「学校の席替えみたい」に選手の移籍が活発だった。言葉の壁を乗り越えてようやく打ち解けても、ほどなくしてその選手はチームを去り、新しい選手が入ってきた。

「そういった環境に慣れていたつもりだったんですけど、自分の別れ際はさすがにちょっと……。何もかも未熟な自分を受け入れてもらい、不安な気持ちを察して気遣ってくれたのを憶えていたので。

感謝の気持ちがあったし、二度と会えないかもしれないと思うと寂しさが沸いてきた。いつか、またヨーロッパでプレーしたい気持ちは持っています。スタジアムの雰囲気、サッカーが根付いた文化は刺激的で、そこで味わった悔しさを含めて忘れられない」

 当面の目標ははっきりしている。高木は先々を見据え、今季のテーマをこう語った。

「オランダで感じたのは、ゲームを自分で動かす経験値の不足でした。途中から入る場合は役割が明確なんです。得点であったり、悪い流れを変えるために投入される。

一方、スタメンの場合は90分のなかでいい流れを自らつくり、あるいは悪いなりにしのぐことが求められます。それをできる選手が、チームの中心になる。エスパルスに貢献していくことで、選手としても人間としても成長していきたい」

 21歳のわりには童顔で、愛嬌のある顔立ちはファンの人気に一役買っていることだろう。インタビューの合間、時折のぞかせる険しさ、凛とした表情は、国内外でプロとして生きてきた証のひとつか。そこに3年という歳月が刻まれているように思えた。

【了】

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