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本田圭佑 10年前

さらに増した守備での貢献。ミラン監督の意図から見る、本田が右サイドで起用される理由

キエーボ戦でカカーへのアシストなど勝利に貢献した本田圭佑。守備での貢献度は前節以上だった。なぜ本田にそこまで守備を求めるのか? セードルフ監督の意図はどこにあるのか?

text by 神尾光臣 photo by Kazhito Yamada / Kaz Photography

前節を上回る守備への関わり

さらに増した守備での貢献。ミラン監督の意図から見る、本田は右サイドで起用される理由
本田圭佑【写真:Kazhito Yamada / Kaz Photography】

 前半23分のことだった。本田はターラブとシンプルにボールを繋いで、カウンターを演出していた。そのボールはやがて前線のカカーに渡るが、後方に折り返したところ相手DFに引っかかり、流れはそれで途切れる。

 肝心なのはその次だ。キエーボは縦方向にカウンターを仕掛け、一気にミランの右サイドを深いところまで攻め立てていたが、そこにはもう本田の姿があった。彼は60~70メートルの距離を走ってスペースをカバーし、守備陣に手を貸し、丁寧にボールを繋ぎ直してビルドアップに参与していたのだ。

 そんなプレーを、本田はキエーボ戦で90分間繰り返していた。サイドバックやウイングバックであっても、帰陣を意識する事は大変である。しかし本田は前節のフィオレンティーナ戦同様に、いや前節よりももっと激しく精力的に守備に関わっていた。

 前節に見せた献身性を持続させながら、チーム2点目のアシストに見るように“10番”の仕事として期待される得点への貢献もしてみせた。自らのゴールを逃したのは残念だったが、また一歩適応を進めたことをアピール出来た、とてもポジティブなパフォーマンスだった。

 セードルフ監督はこの試合、DFライン以外はフィオレンティーナ戦の布陣の踏襲を決めた。中2日という悪条件はあったが、コンディション面よりもパフォーマンスの継続性を優先したという事だろう。前節の試合は守備のコンパクトネスが保たれ、相手の攻撃を組織的に封じる事が出来た。

 ただ、中盤の守備を優先しようというのなら、出場停止の解けるポーリを使っても良かったわけである。しかしセードルフはそうはせず、再び本田をスタメンに起用。つまりサイドの守備を評価したと共に、「攻撃でも仕事をしてくれ」という期待の表れと言える。

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