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Jリーグ 10年前

鹿島対神戸での珍ゴールはなぜ生まれたのか? レフェリーの動きを検証

text by 編集部

実は動き出していた副審

 試合後、山本は苦笑いを浮かべながらこう話した。

「主審を見た時に笛を加えていて、副審を見ながらボールの所まで走って行ったんですけど旗を上げていました。ずっと上げていたのでノールックで返してしまった。冷静に考えると確かに笛は鳴っていないし、主審に決定権がある」と、セルフジャッジしてしまったことを悔いていた。

 このシーンをVTRで確認すると、副審は一度フラッグを上げたが、その後フラッグを降ろして走り出している。通常であればオフサイド地点を示すため、その場で静止しているはずだ。

 ダヴィがあのままボールを追っていればオフサイドになったかもしれないが、彼はプレーを止めた。それで主審はプレーオンと判断し、副審も走り出したのではないか。つまり、旗を上げていたのは山本海人が言う「ずっと」ではなかったのだ。よく見ていれば防げていた可能性は高い。

 とはいえ、プレーオンなら主審がそのようなジェスチャーをするはずだが、VTRを見る限り大きな動作はしていない。ここで何らかのジェスチャーをしていれば審判団も完璧だった。神戸の選手たちが抗議したくなる気持ちも理解できる。

 セルフジャッジから相手に勝ち越しゴールを許してしまった山本海人だが、ビッグセーブでチームを救っていたのも事実。3-2の逆転勝利には、守護神の存在があったことを付け加えておきたい。

【了】

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