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アジア 10年前

アーノルド前監督、成績不振は明らかだが――。豪州では依然“名将”の評価、解任した仙台への批判も

text by 植松久隆 photo by Taka Uematsu , Getty Images

監督の手腕だけが問題だったのか?

アーノルド前監督、成績不振は明らかだが――。豪州では依然“名将”の評価、解任した仙台への批判も
アーノルドを指名した過程は正しかったのか【写真:Taka Uematsu】

 アーノルドが、その残した結果だけで、「駄目監督」の烙印を押されるのはフェアに思えない。そもそも、長期政権で確固としたスタイルを持った手倉森体制の後釜として、アーノルドを指名した過程は正しかったのか。そして、外国人監督を迎えるにあたって、クラブのバックアップ体制は万全だったのか。

 こちらでJリーグ中継が無い関係もあり、ダイジェストでしか今季の仙台の戦いぶりを見ていない筆者は、戦術的な側面を語る資格は有さない。しかし、Aリーグ時代に少ない予算の地方クラブ(セントラルコースト・マリナーズ)を大きな補強に頼らず、選手を育成しながらAリーグ随一の安定勢力に育て上げたアーノルドの余りにも無残な結果を見る時に、果たしてこれが監督の手腕だけの問題なのだろうかとの疑念は拭えない。

 ただ、「敗軍の将、兵を語らず」とも謂うが、アーノルドの退任直後の辛辣なクラブ批判は、正直、聞こえの良いものではなかった。その退任が、解任であろうが辞任であろうが、豪州トップクラスの指導者のJリーグ挑戦が今回のような形で“強制終了”されたことのネガティブな影響は小さくはない。
 
 少なくとも、日本サッカー界での「オーストラリア人監督」株が急落したことは否めない。それは、アーノルド個人のキャリアが傷ついたという以上に、日豪両国のサッカーでの関係性に負のインパクトを与えかねない。

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