W杯がブラジルを分裂。SNSで広がる“組織なきデモの輪”

　今年6月に行われたコンフェデレーション杯期間中に学生たちがデモを起こしたことは記憶に新しい。

　こうしたデモは、かつての学生運動と違って、このデモが完全に組織されていないことに当局は頭を悩ませている。

　デモはFacebookなどのソーシャルメディアで告知される。参加者の中には、単に騒ぎたいという人間も含まれている。彼らはパチンコや石、ナイフを持ち込み、店など破壊することが目的だ。

　デモに参加する人間の「種類」を見極めて、商店はシャッターを閉めて店じまいすることもある。店の破壊を避けることはもちろんだが、地下鉄などの公共機関が停まり、従業員の足がなくなることもあるのだ。

　緩やかな目的のデモではあるが、その影響は大きい。

　今回の反ワールドカップ・デモはワールドカップ開幕戦が行われるアレーナ・コリンチャンスを目的地としていた。その意図を察知した機動隊はアレーナ・コリンチャンスに向かう道を封鎖している。

　一方、コリンチャンスのサポーター集団「ガビオン・ダ・フィエル」の有志がスタジアムを護るために集められていた。

　残念ながらW杯はこの国の人々の分裂の原因となっている――。

　ワールドカップが始まれば、この国はサッカー一色になるだろう。ただ、かつてのようにサッカーがあれば全てを忘れるという時代は去ったともぼくは感じている。

【了】

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