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本田圭佑 10年前

「本田も大概だったが、チームが酷かった」。トップ下で先発も失敗に終わったゲームプランの犠牲となった本田

text by 神尾光臣 photo by Kazhito Yamada / Kaz Photography

定位置奪取のためのハードルが更に上がった本田

「本田も大概だったが、チームが酷かった」。トップ下で先発も失敗に終わったゲームプランの犠牲となった本田。定位置奪取のハードルは更に上がる
「本田も大概だったが、チームが酷かった」とコリエレ・デッロ・スポルトの記者は語る【写真:Kazhito Yamada / Kaz Photography】

 サイドアタックの上手いエル・シャラウィを投入し、システムも4-2-3-1に変更する。トップ下として本田を残すことも出来た状況ではあるが、「練習で狙ったことが出来てなかった」と判断したセードルフは彼を下げた。

 後半から投入されたエル・シャラウィは、それはもう溌剌とプレイした。4-3-2-1の導入で逆に手薄となっていたアタランタのサイドを突いて躍動し、守備にも深い位置まで戻る。そしてカウンターではスピードを活かしてボールを運び、1点目のアクションの起点となっていた。

 ただカウンターの強力なアタランタを前に、ワイドな攻撃的布陣は仇となる。結局ミランは2点を失って破れた。

 最終ラインを高く押し上げて、後方からビルドアップを掛けて両翼を拡げ、スペースを創りパスを回す。トップ下として本田を活かすにはそういった条件がいるのだが、今のミランのチーム状況はそうなっていない。

「本田も大概だったが、チームが酷かった。チームプレーそのものが成り立たなければ、調子など維持出来るものか」。コリエレ・デッロ・スポルトのフリオ・フェデーレ記者はそう語っていた。

 ただ、それならそれで現実に合わせる必要がある。しかしスピーディにボールを運ぶことも、単独で仕掛けることも出来ていなかった。下手をすれば、サイドのときの方がチームとも噛み合っていた印象も受けた。

 もしかしたら今までセードルフが本田の右サイド起用にこだわったことは、「中央の密集では心もとないからサイドへ逃がそう」という判断があったのではないだろうか。

 しかし本田を本来のトップ下として試せば、アタランタに読まれて戦術ごと潰され、さらにガッリアーニに疑問を呈され自らの評価も落とす悪循環。定位置奪取のためのハードルは、また上がってしまったようだ。

【了】

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