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本田圭佑 10年前

「本田も大概だったが、チームが酷かった」。トップ下で先発も失敗に終わったゲームプランの犠牲となった本田

text by 神尾光臣 photo by Kazhito Yamada / Kaz Photography

本田を経由することでカウンターがスピードダウン。前半で戦術変更に迫られる

 中央のスペースは常に密集し、前を向かせてもらえない。ロストは回避してもバックパスになるか、手数をかけた後にサイドに流し、結果的に攻撃を遅らせてしまうシーンも続出した。

 真ん中が密集しているならば、サイドに逃げる他はない。しかし16分、左サイドでボールを運ぼうとすればマークを振り切れず、チガリーニに潰された。

 それでも相手のプレスが一服した後は、パスも触れるようになる。しかし、それも散発。中央の密集に苦しむのは本田だけではなったのである。カカーやバロテッリも囲まれ、満足にキープが出来ない。相手の収縮は早く、エリアはガチガチに固められている。3人の細かい連係で崩そうという意図は、コラントゥオーノ監督に完璧に読み切られていた。

 こうなると全体の攻撃もスピードダウン。そこでボールを奪われると手薄なサイドをカウンターで破られ、攻撃のやり直しになればまた堅い守備が待っているという負のループだ。

 ここを素早くカウンターで突ければいいのだが、本田を経由するとタッチを余計に増やし、攻撃をスピードダウンさせてしまった。その状況で、フェイントを仕掛けてマークを外し、前線へパスを通そうとすればロスト。ピンチを招くこともあった。

 中央のスペースがなければ、今度はサイドで起点を作るまで。左右に流れて細かくパスを交換した後、ゴール前へポジションを取ってクロスを呼び込むのが、代表でもおなじみである本田の攻撃パターンだ。

 30分以降、その動きを試そうとしていた部分はあったのだが、パスを捌いた後でゴール前にポジションを取っても、今度は中央の密集を嫌った周囲がパスを出さなかった。

 結局、トップ下を使って攻めるというプランは瓦解。点こそ奪われてなかったがアタランタは危険な形を何度も作っており、こうなればセードルフ監督も戦術変更を決断せざるを得ない。

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