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長谷部が孤軍奮闘、鼓舞し続けたが――。戦意なく、残留への気持ち感じられなかったニュルンベルク

text by 本田千尋 photo by Ryota Harada

孤軍奮闘の長谷部。チーム最多のボールタッチ数を記録

長谷部が孤軍奮闘、鼓舞し続けたが――。戦意なく、残留への気持ち感じられなかったニュルンベルク
チームの中で最もボールに触ったのは、長谷部誠だった【写真:原田亮太】

 それからピッチの上で気を吐き続けたのは、長谷部誠だけと言って良かった。最後のカンフル剤としてボランチのポジションで先発出場した長谷部は、積極的にボールを呼び込みながら、孤軍奮闘する。

 大きなジェスチャーを交えて、声を荒げた。それは、慟哭、と言っても良かったかもしれない。2014年4月12日付のKicker誌のデータによれば、ニュルンベルクのチームの中でシャルケを相手にして最もボールに触ったのは、長谷部だった。

 覇気の失われたニュルンベルクの選手たちの中を、マイヤーは躍動した。W杯に挑もうとするドイツ代表に選出された喜びが、前身から溢れ出している。

 トップ下のポジションで先発出場したマイヤーは、豊富な運動量で中盤を広く動き回った。正確なトラップからボールをサイドに散らす。スピードに載ったドリブルを見せる。マイヤーの躍動が、ニュルンベルクの沈滞を一層際立たせた。

 もはや戦術も戦略もないニュルンベルクは、45分にノイシュテッターに2発目を、75分にはドラクスラーに3発目を食らう。ドラクスラーの一撃がゴールネットを揺する頃には、遠く駆けつけたニュルンベルクのファンは、歌を歌うことを既に止めていた。

 残り15分で3-0というスコアが電光掲示板に表示される中で、青いファンは祝賀の歌を声にし、アウェイの一角は哀しく沈黙に包まれて互いに身を寄せている。

 アディショナルタイムにドリミッチが意地を見せて1ゴールを返すが、すぐさまオバシに4点目を決められてしまう。1-4のスコアで敗戦を喫したニュルンベルクは、そのまま2部への降格が決定した。

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