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「独裁的」から「強烈なリーダーシップ」へ。W杯を終え、一変したファン・ハール評。マンU再建に現地メディアも太鼓判

text by 山中忍 photo by Getty Images

「トップ4漏れは考えられない」。現地で高まる期待

 思い返せば、就任1年目に解雇されたデイビッド・モイーズ前監督は、就任直後の写真からして説得力を欠いた。監督室で前シーズンまでの「ファーガソンの椅子」に腰を下ろして笑顔を見せた1枚からは、モイーズの純朴な人柄が窺えても、プレミア監督歴11年の重みは感じ取れなかった。

 その点、威風堂々としたファン・ハールの写真には、アヤックス、バルセロナ、バイエルンと、欧州の強豪で監督を歴任した貫禄が溢れていた。

 メディアの評価はすこぶる高い。厳密には会見を経て高まったというべきだろうか。就任が決まった5月後半の時点では「独裁的」な監督としての在り方を危惧する意見もあったが、7月後半の現時点では「強烈なリーダーシップ」へと見方が変わっている。

 ファン・ハール率いるユナイテッドに「トップ4漏れは考えられない」という意見が一般的になった。就任1年目のリーグ優勝を予想する声もある。2カ月前には「プレミア初体験」をリスクと指摘していた、元ユナイテッドの主力で現解説者のガリー・ネビルも、「経験は十分。期待できる」とコメントしている。

 就任直前のW杯でファン・ハールの株が更に上がっていたことは事実だ。BBCでテレビ解説を務めるアラン・シアラーは、「対戦相手と戦況に見事に対応した」と、オランダ代表を予想以上のベスト4に導いたファン・ファール采配を讃えている。

 とはいえ、ユナイテッドでの就任会見にして周囲をなびかせた要因は、指揮官が発散する揺るぎない自信に他ならない。イングランドのメディアは「精神面」を強調しがちだが、それにしても相当な入れ込みようだ。

 昨季首位のマンチェスター・シティに22ポイントもの差をつけられたチームには、フロント主導で2名が加わっただけの段階で、「ファン・ハールのユナイテッド」に成功が見込まれているのだから。

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