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フットボールマネーを追え!【05】海外放映権に加え、国内にも強固な基盤を持つプレミア。その背景には“ファンも育てる”育成方針

シリーズ:フットボールマネーを追え! text by 小松孝 photo by Getty Images

プレミア放映権ビジネス成功の立役者は世界のメディア王

 スペイン・リーガエスパニョーラの放映権は、各クラブが個別に交渉するため、結局は、知名度や資本力に勝るバルセロナとレアル・マドリーの2強による独占状態が続いている。

 そのため、リーガエスパニョーラの放映権収入は、リーグ全体で9億ユーロ(約1,242億円)を誇りながら、2強だけでその約40%に相当する3億7,650万ユーロ(約520億円)を占め、残り18クラブの平均がわずか2,900万ユーロ(約40億円)という結果になっている。

 プレミアリーグの中継は、世界212の国と地域をカバーし、放送局数は80を数え、視聴者数は年間47億人にも達する。

 その成功の立役者は、全米のメディア部門で10年連続、第1位の座に輝き続ける世界のメディア王ルパート・マードックである。そしてその礎となったのがコモンウェルスという巨大なプラットフォームの存在と、マードック帝国の強みを最大限に生かした結果ではあるまいか。

 そのため日本が今後、放映権ビジネスを進めていくなかで、プレミアリーグのやり方を至近距離でまじまじと見つめたとしても、視力が悪化するだけだろう。やはり彼らの手法についてはテレビ同様、3mくらい離れて見るのがちょうどいいのかもしれない。

【06に続く】

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