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フットボールマネーを追え!【05】海外放映権に加え、国内にも強固な基盤を持つプレミア。その背景には“ファンも育てる”育成方針

シリーズ:フットボールマネーを追え! text by 小松孝 photo by Getty Images

育成に成功したドイツ。今後は放映権ビジネスにも本腰へ

フットボールマネーを追え!【05】海外放映権に加え、国内にも強固な基盤を持つプレミア。その背景には“ファンも育てる”育成方針
欧州5大リーグの総収益と放映権収入

 ところで、2014年W杯ブラジル大会でドイツが優勝した理由を上げるならば、2000年のユーロで惨敗し、そのリベンジを強く誓うなかで、その後においてメスト・エジルやトニ・クロースらを輩出したように、強固な育成システムを作り上げたことも、そのひとつ。

 選手を育てるには時間がかかるが、それはとりもなおさず粘り強いゲルマン魂を持ったドイツ・サッカー協会(DFB)の長期ビジョンが成功した証でもある。

 翻って、ドイツ国内のブンデスリーガの放映権収入に目を向けると、他の4リーグには劣るものの、ビジネスの芽を見つけるに敏なBスカイBの親会社である21世紀フォックスが、2015年からの3季分として北米及び南米と日本を含めたアジア主要国での放映権を7,000万ユーロ(約96億6,000万円)で購入した。

 このことからも分かるようにブンデスリーガは今後、放映権収入についてもじわりじわりと育てていくに違いない。

 セリエAやリーグアンについては、リーグ収益のおよそ半分が放映権収入で占められ、スペインに至っては60%にも達する勢いだが、収益構造そのものについては、あまり良い状態とは言えないだろう。

 英・独・西・伊・仏の5カ国を合わせて欧州サッカー5大国と言われるが、そのゆえんは、世界的な知名度や人気の高さ、サッカーの質もさることながら、収益の大きさである。

 UEFAに加盟する54協会のうち、国内リーグを持たないリヒテンシュタインを除く53協会が12/13シーズンに上げた収益は、19.9億ユーロ(約2兆7346億円)で、これら5カ国が上げた収益は、その約50%に相当する9.8億ユーロ(約1兆3524億円)にも及ぶ。

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