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連載コラム 10年前

元Jリーガー・西村卓朗の新たな挑戦 第12回 Jリーグの常識は実は非常に恵まれている

シリーズ:元Jリーガー・西村卓朗の新たな挑戦 text by 西村卓朗 photo by VONDS市原

2013年10月20日 On the pitch 全社2回戦 対サウルコス福井戦

 この日のキックオフは12時30分。

 スタッフ陣といろいろ話し合った結果、スタメンを4人変更して試合に臨むことにした。得点をあげた岩田、尾形、また村山、小川という前線の選手4名を宮内、荒井、鈴木、中村に代えた。選手層が厚いということはVONDSの強みだと冷静に分析していた。実際にリーグに出場した選手は延べ27人におり、得点も16人が挙げた。この数字は関東リーグの中でも断トツであった。

 選手の怪我、不調、先制点、失点…色々なことをシュミレーションしてこの試合には臨んだ。

 開始直後気になるところがすぐに目についた。ゲームの入りは非常に大事なものだが、明らかにゲームに入り込めていない選手がいた。連戦による疲れだということは容易に察しがついたが、そのような状況はチームにすぐさま影響を与える。

 攻めも、守りも、チグハグな状況のまま、11分鋭いパスが、ペナルティエリアに入り遅れて対応した選手が相手と交錯。審判はPKと判定し、それを冷静に沈められ先制点を献上した。

 レギュレーションも40分ハーフという変則マッチ。先制点の意味するところは大きく、その後もなかなかチャンスが作れずに停滞した状況が続いた。ハーフタイムでDFラインを1枚、58分、65分には少し早めに前線のカードを切っていった。

 少しずつチャンスも増えゴールに近づいてきてはいた。そして後半のロスタイム、CKからこぼれ球を拾い、2次攻撃を仕掛け中村のクロスから斉藤が終了直前にヘディングシュートを叩き込み土壇場で同点に追いついた。試合を振り出しに戻し前後半10分ずつの延長戦。

 流れは決して悪くなかったが、CKへの対応でショートコーナーに対する反応が遅いことが気になった。修正する間もなく、プレーは続いていった。

 延長前半7分にまたもCK。そのCKも対応としては悔やまれるような形で簡単に与えてしまった。そのCKから中でピタリと合わされ、2点目を献上。

 その後チャンスはあったものの、結局この1点が決勝点となり初めての挑戦であった全国社会人サッカー選手権大会は2回戦で敗退し終了した。拮抗したゲームを左右するのはセットプレイだが、この試合はまさにそんな展開のゲームだったように思う。

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