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連載コラム 10年前

元Jリーガー・西村卓朗の新たな挑戦 第12回 Jリーグの常識は実は非常に恵まれている

シリーズ:元Jリーガー・西村卓朗の新たな挑戦 text by 西村卓朗 photo by VONDS市原

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元Jリーガー・西村卓朗の新たな挑戦 第12回 Jリーグの常識は実は非常に恵まれている
【写真:©VONDS市原】

 JFL昇格に向けて唯一可能性の残された大会、全社。決勝まで行けば5日間で5試合を戦うことになる。Jリーグだけしか知らない選手を含めたサッカー関係者からは驚きだろうが、間違いなく、世界の中でも一番過酷なスケジュールがこの全国社会人サッカー選手権大会ではなかろうか…。

 余談だが自分も8年Jリーグでプレーした後、アメリカの2部では2日で2試合というスケジュールはこなしたことがあった。Jリーグの習慣がしみついていた自分は対応するのに苦労した。

 遠征なども大分への飛行機移動は遠く感じていたが、アメリカに渡るとトランジットを含めた10時間以上の移動は日常茶飯事、西と東とでは時差もあり前日練習なしでの試合も当たり前だった。

 1年目のPortlandでは、TRMを含め北に位置するバンクーバーまでバスで9時間かけて、3度も行った。

 日本の常識、Jリーグの常識は実は非常に恵まれている。

 話はそれたが、この全国社会人サッカー選手権大会(全社)はいずれにせよ自分にとって未知の部分が多い大会だ。自分の経験だけでは当然情報が不足している。まずは知人を頼り、相模原SCの関係者にこの大会の特徴、また懸念事項などを聞き、準備するところから始めた。ホテル、食事、選手のケアなど…。

 1回戦は10時キックオフ。トーナメント形式のためそのシーズンの総決算がこの大会になる。またリーグ終了から3週間あいて行われる。地域リーグ1年目の自分は色々なことに慣れるのに苦労した。

 当たり前だが、更衣室、控え室などはないし、入場行進の時に音楽で盛り上げてくれる演出もない、観客もまばら(VONDSは市原から応援に来てくれたサポーターが多数おり、これは非常に珍しいことだし、実際に心強かった)の中、自分たちでメンタル的にも、フィジカル的にも最高潮に持っていく準備、努力が必要だった。

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