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連載コラム 10年前

元Jリーガー・西村卓朗の新たな挑戦 第12回 Jリーグの常識は実は非常に恵まれている

シリーズ:元Jリーガー・西村卓朗の新たな挑戦 text by 西村卓朗 photo by VONDS市原

どんなことでも最後は受け容れ、プラスの発想を持てるかどうか

元Jリーガー・西村卓朗の新たな挑戦 第12回 Jリーグの常識は実は非常に恵まれている
【写真:©VONDS市原】

 試合前のMTも個室のほうが効果的だと判断して、マイクロバスの中であえて行った。
Jリーグ時代を思い出せば、その恵まれすぎた環境に力を引き出されていたことが多々あったように思う。

 選手の登録の締め切りも大会の行われる1ケ月以上も前。5日で5連戦を行う可能性があるのに怪我人による選手の入れ替えも不可能。なので、リーグ最終節に選手の怪我に対しては非常に過敏になり必要以上に審判にアピールしてしまうことにもつながってしまったと今では反省している。

 色々なことを準備、想定することは大事だが、そこに囚われすぎないこと。最大限の準備はして、あとはドーンと構える。気にしない。そのようなメンタリティーが重要だと思う。

 5日で5連戦、それまでのサッカーの常識が通用しないことも大いにあるだろうし、どんなことでも最後は受け容れ、プラスの発想を持てるかどうか。

 選手起用、采配なども極力主観を外し、現状を冷静に、客観的にまずとらえること。監督業をやっている中で、勝手に自分でストーリーを作ってしまうことがある。そのような思い込みで動いてしまった試合がリーグでも何度かあったが、やはりそれはうまくいかなかった。まずしっかり現状を正しく捉えることが重要である。

 ホテル探し、スケジュール管理、荷物準備、どれも初めての経験で本当に大変であったがこの部分は事務局の中で動いてくれたスタッフ、ボランティアで手伝ってくれたチームスタッフに本当に感謝している。

 選手という立場では到底見ることができない角度が多くあり、それをこの大会では多く見ることとなり、自分が今まで所属していたクラブスタッフの顔が浮かんだ。このような人たちの存在で選手はプレーする場所を用意してもらっている。やはりこれは選手がもっと知るべきだし、それを知れればまたグランドに立つ気持ち、試合後に巡らす想いは変わってくるのではないか。

 それを強く感じた日々だった。

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