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日本代表 9年前

1対1の勝負に苦しんだ武藤。未来の代表エースに与えられた重要な課題。ジャマイカ戦は有意義な一戦に

text by 河治良幸 photo by Getty Images

意味のある試合となったジャマイカ戦。武藤には重要な課題

 守備でも「前から行き過ぎて、後ろのスペースが空いてしまうと、スピードを活かされると思った」と警戒していたが、そこでボールを奪えたところから、直後のショートカウンターにつなげられたのは1つの成果だ。また右サイドで本田圭佑に入ったところからも、中に流れてチャンスに絡むことができた。

「外から中に入っていく動きは今、代表で求められていることなので、そこは今日出せたんじゃないかって思います」と武藤。そうした場面では中盤や右ウィングの本田圭佑とのコンビネーションが高まれば、あとは精度の問題になってくる。特にスルーパスを得意とする柴崎岳とのホットラインは大きな可能性を感じさせるものだ。

 後半途中から中央でもテストされたことに関して「求められたポジションで結果を出さないといけない」と自覚しながら「ウィングの方がいい」と素直な意見を口にした武藤の最大の武器はカットインからのシュートであり、それを発揮できれば先の代表戦でもゴールチャンスは生まれるだろう。

 しかし、左サイドバックの長友佑都が「1対1での勝負が多くなる」と指摘する様に速攻を意識する4-3-3の性質上、ウィングが相手のサイドバックと1対1で勝負しなければならない場面が必ず出てくる。チームの攻撃を機能させるには、左で相手のサイドバックを破り、起点になる働きも求められるのだ。

 今回はパウエルという新鋭に苦しめられたが、次のブラジル戦も含めて、もっとハイレベルな相手とも勝負していかなければいけない。速い流れの中で同サイドの長友など周囲のフォローも引き出しながら、持ち前のスピードに工夫を加えてマッチアップ能力を高めていけるか。

 全体的にはそれほど難しくない相手に見えたジャマイカだが、日本代表の主力になりうるサイドアタッカーに重要な課題を与えたという部分でも、十分に対戦の意味はあったと言える。

【了】

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